9月30日までの限定公開です。
2025年8月15日の朝。
95歳の夏子は縁側でうたた寝をしながら、近所に住むひ孫の桃花を待っていた。
桃花が持ってきた芋飴に、夏子は目を細める。
夏子は、昔からこの時期に“芋飴”を作っていたが、今は桃花たちに任せている。
「なんで、毎年この時期に作るの?」。
青く澄んだ空を見上げる夏子。
「あなたが成人したら話そうと思っていた。知っておいて欲しいの、80年前の出来事を」。
夏子はゆっくりと、戦時中に知り合った大切な人たちのことを語り出す。